ソフトコンタクトレンズの正しいケア方法と、ケアする理由
コンタクトレンズを使用している人は、日本国内で約1500万人。この全員が正しい使い方・ケア方法ができているとは言い難い現状ではないでしょうか。
コンタクトレンズは医療機器で、私の友人がいい(?)例ですが正しくケアをしないと危険です。
本記事では、ソフトコンタクトレンズの正しい使い方をはじめ、ケアをする目的や理由も含めて解説します。
ケアする理由を知れば、正しい使い方をせずにはいられなくなるはず。
微生物の繁殖撲滅! 目は一生の付き合いですから、大事にしなければです。ではまいりましょう。
コンタクトレンズは、きちんとケアしないと危ない医療機器
日常的に使われているものですが、じつはコンタクトレンズは高度管理医療機器。高度管理医療機器とは、
「医療機器であって、副作用又は機能の障害が生じた場合
(適切な使用目的に従い適正に使用された場合に限る。)において、
人の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあることからその
適切な管理が必要なものとして、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定するものをいう。」(医薬品医療機器法)
2005年の薬事法改正で、透析器、人工呼吸器などと同様、副作用・機能障害が生じた場合、人体へのリスクが高いものと位置づけられました。
要は、間違った使用をすると、重篤な眼障害をまねく危険があるよということ。
身近なので意識が緩みがちになりますが、頭の隅に常に置いておきたい事実です。
ケアの必要性
ケアしないとやばそう、というのは感覚的にはわかりますが、どうしてやばいのでしょうか。
清潔・キレイにするくらいの意識で日々ケアを行っている人も多いかもしれませんが、ケアが必要な理由や目的があるのです。
ソフトコンタクトレンズのケアが必要な理由
ソフトコンタクトレンズのケアは、4つのステップがあります。
洗浄・すすぎ・消毒・保存。
この4つのケアが必須です。
それぞれ何のためにやるのか? 目的や役割を見ていきます。
1. 洗浄(こすり洗い)
レンズに付着した汚れ・微生物の除去のため。
こすり洗いは、すご〜く大事です。
つけ置きだけでは汚れを浮き上がらせることはできても、付着した汚れを落としきることはできないのです。なので こすり洗いはとっても重要。欠かせません。
指先でレンズをこすることで目の分泌物のタンパク質、脂質を落とし、微生物も1000分の1程度に減らすことができます。
※タンパク質は他の種類の汚れと違い、通常の洗浄成分では落しきることのできない少しやっかいな汚れですが、タンパク質専用のケア用品を使って落とすことができます。
2. すすぎ
洗浄により遊離した汚れ、微生物、洗浄に使用した薬液を洗い流すため。
保存液、もしくはオプティフリーやレニューなどのケア用品(マルチパーパスソリューション(多目的用剤)と呼ばれる)で行う。
3. 消毒
レンズは水分を含んでいて、細菌や微生物が繁殖することがあるので、外すごとに「消毒」が必須。
4. 保存
レンズの表面の乾燥状態が続くと、レンズの汚れやくもりの原因になるため。
その他: 強力タンパク除去
毎日ケアをしてもレンズにタンパク質の汚れが固着することが。その汚れを落とすために定期的(1週間~1ヶ月に1度)に行うとよい。
ソフトコンタクトレンズの正しいケア方法
一番一般的なケア用品であるマルチパーパスソリューション(MPS)を使用した、正しいケアの方法をご紹介します。
MPSとは、ひとつの液で洗浄、すすぎ、保存、消毒というソフトコンタクトレンズのケアのすべてを行えるケア用品のこと。
用語が大げさなので何それという感じですが、要は現在最も一般的なケア用品、例えばオプティフリー、コンプリート、レニュー、シーキューブなどのケア用品のことです。
ちなみにMPS以外のケアでは、もはや一般的ではないですが、煮沸消毒や過酸化水素消毒などがあります。
毎日確実に。詳しいケア方法
まずは石けんでよく洗った清潔な手でレンズを外してスタートです。
① 洗浄(こすり洗い)
手のひらにレンズを置き、洗浄剤を数滴たらして、レンズの両面を各20秒ほど指の腹でこすり洗いをする
(正)同一方向に指を往復させる
(誤)円を描くように指を動かす
レンズが破れるなど破損の原因になるため誤り。
② すすぎ
レンズの両面を洗浄剤でよくすすぐ
十分な量の洗浄液ですすぎます。
③ 消毒・保存
清潔なレンズケースに洗浄剤を満たす。レンズを入れて、ふたを閉め、4時間以上浸す
MPSの場合、これで消毒・保存が完了します。
④ レンズ装着前には、洗浄剤でしっかりとすすぐ
汚れを洗い流す意識ですすぎます。
※コンタクトレンズ装着している間は、ケースを洗って自然乾燥させておく
Q&A
お次はよくある疑問にお答えします。
お化粧は、レンズ装着前? 後?
お化粧は、レンズを装着してから。
石鹸で手を洗ってもお化粧品はなかなか落ちないためです。
水道水は使っちゃダメ?
ソフトコンタクトレンズのケアに、水道水は厳禁です。
水道水ですすいだり、水道水で作った自家製生理食塩水を使用したりすると、アカントアメーバーなどがレンズに付着し、深刻な眼障害を起こす危険が高くなるためです。
(日本コンタクトレンズ学会、国民生活センター調査より主要箇所を抜粋)
「こすり洗い不要」の製品もあるみたいだけど?
「こすり洗い不要」と表記したつけおき洗浄製品も出ていますが、実際にはこすり洗いを併用しないと洗浄効果は著しく落ちるので、面倒でも必ずこすり洗いをしてください。
まとめ!
ソフトコンタクトレンズは、ちゃんと毎日ケアしないと眼障害を患う危険がある医療機器! 面倒でもケアしないと危ないよ、レンズも、手も、ケースも清潔にしよう! ということですね。
ケア方法と、ケアをする理由をまとめると
① 洗浄剤を垂らしてレンズの両面をこすり洗い〈洗浄〉←超重要
汚れ・微生物除去のため
② レンズの両面をすすぐ〈すすぎ〉
汚れ・微生物・薬液を洗い流すため
③ 洗浄剤を満たしたケースに、レンズを4時間以上浸す。この間に消毒が完了する〈消毒・保存〉
細菌・微生物繁殖を防ぐ/レンズの乾燥による汚れ・くもりの予防
④ レンズ装着前も、もう一度しっかりすすぐ
です!
意外とチェックしないものですが、ケア用品のパッケージ裏面を見てみると細かく使い方が書いてあります。
例えばスマホや炊飯器を説明書を見ないで自己流で使ったところで、地球が爆発するでも健康被害が出るでもないので困ることはないのですが、コンタクトレンズはきちんとケアしないと生活に支障が出ます。すごく困るし楽しくなくなっちゃいますよね。
私はめんどくさがりですが、コンタクトケアはちゃんと毎日きちんとやらねば、自分が気持ちよく楽しく生活するために! と改めて心に決めた次第です。