子どもが病気になるとすぐにドキドキしてしまう

子どもが病気になると、必要以上にドキドキしてしまう。

2歳半の息子が朝起きたとき、機嫌が悪かった。泣いて何か文句を言っている。朝食の大好きな納豆ご飯も、1/5くらいの分量しか食べない。

おでこを触るが、そんなに熱くない。が、いつもと様子がちょっと違うので保育園にお休みの連絡をした。

「電車のテレビ見る」と言っているので、見せている間に洗濯物を干しに行くことにした。「洗濯物干してくるね」「うん、いいよ」。

洗濯物を干し終わり、リビングに戻るとYou tubeを正座をして見ている息子が、震えているように見える。膝の上に息子を乗せ、手を見るとやっぱり震えている。暖かい春の日なのに。唇の色もよくない。

「寒い?」「寒い」「暑い?」「暑い」「大丈夫?」「大丈夫」。意味をわかってて言っているのか、わかっていないのかが要領を得ない。

再びおでこに手を当てると、明らかに熱い。震える息子を見たら急に恐怖が襲ってきて、ドキドキして、「今すぐ病院に行こう」と思いの外大きな自分の声に驚きながら準備するが、恐怖で私自身の手が震えてくる。

言葉のやり取りもできるし、水分もとったし、息子の震えは痙攣というよりは寒さで震えている感じだったので、重症でないのは感覚的にわかっていた。しかし、姿がいつもと違うのが、恐怖なのだ。

大人と違って体が小さい分、体全体で症状を訴えるというのだろうか。全身が震えたり、体の色が変わるのを見ると恐怖心が湧いてくる。

震える手で診察券を取り出そうとするが、前回夫が病院に連れて行ったのでいつもの場所に診察券がない。私はなぜか「私の」診察券をつかんだ。

そして大きめのリュックに、タオルをいくつかと麦茶とプラレールと、袋などなど必要そうで必要じゃないものも突っ込みながら「なんでこんなのも入れてるんだろう」と頭の片隅で思っていながらも手が止まらない。

速攻家を出たかったのだが、私はその時点で上の服しか着替えておらず、ズボンは部屋着であった。

その部屋着が、膝に穴は開いてるわお尻のあたりも擦れてるわで、どこぞのファイターのようなズタボロズボンだった。下着見えたままではさすがに街に出れない。

部屋着だからとあまりにボロを着続けていた自分を呪う。

ズボンを着替え、自転車を準備し、嫌がる息子を無理やり荷台に乗せると、泣きながら「お茶、お茶」と言っている。しかもなぜかコップからしか飲まない主張だった。コップにお茶をくんできて飲ませた。そしてリュックやプラレールも欲している。

急いでいるなら水分摂らせた後速攻連れて行けばいいのに、そして早く早くと思っているのに、なぜかすべて息子の要求を全部聞いて叶える私。

「早く行けばいいじゃん」ともう一人の自分が言っているのが聞こえるが、なぜか希望を聞いてしまう。

コップを自転車のカゴに突っ込み、玄関に放置していた布もよくわからないが突っ込んだ。

「よし、今すぐ行くから頑張ろう!」と言ってみたものの不安である。なぜかといえば、コロナウィルスの渦中だったからだ。

医療崩壊寸前などニュースで目にしていたので、めちゃめちゃ病院が混んでたらどうしよう、死んじゃう、と不安で涙が出そうになった。

しかし息子のかかりつけのお医者さんは、マイナーな地域にあるひっそりした病院で、いつも空いている。だから希望を持って自転車を漕いだ。

10分ほど自転車を漕いで、かかりつけの医者に滑り込む。待ってる患者は一人で、さすがだと思った。

受付の女性2人はゴーグルとマスクを装着していて「コロナの渦中なんだな」と実感する。

病院に着いた安堵で気が弱くなってきて、受付で病状の説明始めてすぐに涙ぐんでしまう。

「お母さん、大丈夫ですよ。お子さん意識もしっかりしてるから」

「首もしっかりしてるし、ちゃんと座れてるから。大丈夫、大丈夫」

安心させてくれる。震えてるのを見たら怖くなってしまって・・というと「熱が上がるときに、震えることがある」と教えてもらったことでとても安心した。

ひと昔前の家庭では、たくさんの子どもを育てたおばあちゃんが一緒に住んでいたから病状を見れば一刻を争う病気かどうかや、病気に対しての対処法がわかっていたという。だからこの受付のやり取りで安心する過程は、昔は各家庭で収まっていたのかもしれない。

病院で熱を計ると、38.8℃だった。

結果的にはふつうの風邪だった。ホッ。

時勢もあって、インフルエンザやコロナウィルスの場合の症状の出かたもあわせて教えてくれた。

息子は熱が出たばかりだから、これからよくなるか、一旦悪化してよくなるかはわからないけどもっと熱が高くなって、夜も眠れなかったり不機嫌ならば使うことも考えてね、使わなくてももちろんいいけどね、と下剤を出してくれた。

結局体調不良は自分自身の免疫で治すしかない。それはわかっていて、私が熱を出したらなるべく病院には行かずに寝て汗をかいて治すようにしている。30年以上自分の体と付き合っているので、病院行かないと長期化する症状と寝てれば数日で治るものはわかる(夫はすぐに病院に行け、というタイプでそれを振り切るのが大変)。

しかし、息子のことになると、ただ食欲があって機嫌はふつうで熱があるだけなら家で様子を見るだけなのだが、ちょっと違う様子があるとたちまち恐怖に包まれてしまう。すぐに病院病院と頭がいっぱいになる。

母は強しというけれど、子どもが病気になるとすぐにドキドキするし、涙腺が弱いのも直らない。

結局息子は帰宅後、ほとんど寝て過ごしていた。起きていても私の膝の上に座って何もせずにボーッとしている。大好きなプラレールで遊ぼうともしない。「何もしていない状態」の息子を見るのは初めてだった。健康な状態ではジーッとなんかしていられない。生まれてから一番高い熱が出たのだ、本当につらいのだろう。

ちょっとボーッとしたら眠る、を繰り返す息子。体調を治すにはやっぱり寝ることなんだなと妙に腑に落ちた。体が回復するのに、体が自然に睡眠を欲している。頑張れ息子の免疫。そして下剤も結局使うことなく、翌朝見事に回復。前日の様子が嘘みたいに元気にご機嫌で遊んでいた。

息子が8ヶ月のとき、私が食べていた納豆卵ご飯に手をちょっと突っ込んでしまいアレルギー症状が主に顔にブワーッと出たことがあった。アレルギー症状がどんなものかも知らず、息子の顔がみるみるうちに変わっていくのが大変な恐怖で、それまでの人生で一番パニックになった。顔がなくなっちゃうと本気で思った。

そしてまた今回も平静を保てずにこのザマだ。子どもが病気になると、必要以上にドキドキして焦ってしまう。

・かかりつけの病院のカード・保険証などは所定の場所に常に置いておく

・部屋着は、外に出ても、例えばゴミ出しに行ける程度のさほど恥ずかしくない部屋着に。少なくともビリビリ破けていないもの

・空いていて、腕のいい地域のお医者さんを知っておく

これらが焦りを少なくするために私には必要だ。

が、何より足りないのが知識と経験だろう。

経験ははじめての子どもだから仕方ないにしても、知識が圧倒的にないからパニックになるのだ。

体のそもそもの仕組みをちゃんと理解しておこうと思い、漫画『はたらく細胞』を図書館で予約。

しかしコロナウィルスの蔓延が関係しているのかしていないのか、予約者が前にそれなりにいてすぐに読めない。

さらに以前友人からもらった本の病気に関する章を読む。そう、私は基本的な手当の方法を知らない。それも焦る原因の一つだ。

赤ちゃんはよく熱を出します。熱は、体に侵入したウィルスや細菌の活動を抑える体の防御反応です。(中略)体温を上げて、病原体の活動を抑えようとします。(本文抜粋)

ホームケアでできることは

嫌がらなければ、頭とおでこを冷やしてあげましょう。(中略)できれば氷枕やタオルで冷やして上げましょう。

発熱で最も注意したいのが脱水症状です。湯冷ましや麦茶、経口補水液などで、少しずつ何回にも分けて与えます。(本文抜粋)

友人は2人の子どもを育てているが、この本をめっちゃ読みまくったと言っていた。言葉通り、もらった本はボロボロで「本当によく読み込んだんだな」と恐れ入ったのを覚えている。

また私には、大変気に入っている育児書がある。医師の松田道雄さんが書いた本で、1967年に刊行されて以来のロングセラーの『育児の百科』だ。

岩波書店から出ている文庫本の場合、上・中・下巻に分かれている。〜5ヶ月までの上巻は、当時大変すぎて何度も読んだが、中巻はあまり読んでいなかった。困っていたことがほぼなかったからだ。

中巻の「急に高い熱が出たとき」の項目の一部を抜粋する。

子どもの熱は、ほとんど全部といっていいくらい、伝染性の病気である。だれか身近にいた人から、病原体をもらったためだ。それだから、まず周囲のだれかに、病気がなかったかをかんがえる。

熱の手当としては、頭を氷枕で冷やし、からだを冷えぬようにし、水分(番茶、ジュース、果汁)をほしいだけ与える(はしかでも、最初の熱では冷してもいい)

ときどきであるが、毎月のように高い熱(39〜40度)を1〜2日だす子がいる。鼻水も出ず、せきもない。熱のあるときはきげんがわるいが、そんなにぐったりはしない。熱がさがるともとの元気になってよくあそぶ。ウィルスにたいする免疫抗体ができるのがおくれているのだろう。3歳になると熱をださなくなる。抗体がでそろえば、それからあとの成長に異常はない。

古い本だが、普遍的な本だ。

もちろん現代とは時代背景が違う部分もある。それは当然として、かなりの良本だ。大変あっさりバッサリした口調でありながら子どもを一人の人間としてよく見てるのがよく伝わる本だ。情報量も説得力も、子どもに対する愛情も、申し分ない。世の中で流通してる本の中で、好きな本ベスト5に入るくらい好きだ。

さて、ちょっと脱線してしまったが、これで必要以上にドキドキすることは減ると願いたい。

私が動揺していたら、子どもが不安になる。・・・ってわかってるんだけど、なかなか母は強くなれていない現状です。

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