『2040年の未来予測』を読んだら山にこもりたくなったり、ワクワクしたり、妙な感情が湧き上がった話

『2040年の未来予測』成毛 眞(なるけ・まこと)著を読みました。

著者の成毛さんは日本マイクロソフトの元社長なだけあって、内容はテクノロジーの発展の伴う未来予測の話が中心なのですが、そのほかにも年金などのお金の話、天災、衣食住など、とにかく身近な話が大半。

なので、テクノロジーとかよくわからない私のような一般人でも一気に読んでしまうおもしろい本でした。

あなたの20年後を考えてみよう。

窓の外を見渡せば、ドローンや空飛ぶクルマが行き交う世界は、あたりまえになっているはずだ。そこら中に監視カメラが張り巡らされ、いたるところにセンサーが組み込まれ、あなたの行動どころか健康状態まで把握されているだろう。

現在の時点で多くの人は信じないかもしれない。しかし、20年後は、スマートフォンのように誰もがあたりまえに利用しているはずだ。

どうですか? どんな気持ちになりました?

私は

「ウワー!!!!」

ってなりましたね・・・。

本の前半部分では山の話なんか1個も出てきませんが、未来がテクノロジーにあふれ過ぎていて、今すぐ山へ行きたくなったり、絶望したり。先述の文だけで山に駆け込みたくなったくらいです。

そして絶望的な気分になったかと思えばワクワクしたり。

あとがきを読んでわかりましたが、これは私が若くもなく老人でもなくミドルエイジだからこんな感情になったのだと推測できます。

「未来がこんな風になるなんて信じられない」な部分と「これは本当にそうなりそうだ」という部分があり、未来に答え合わせをしてみたくなりました。

実現しそうと思うことと、信じられないような未来

まず「これは2040年には、ふつうになっているのかもなあ」と思えたいくつかを紹介すると、

・コンビニやスーパーは無人店舗がスタンダードに

・自動運転

・ドローンでの配達

下の2つに至っては、2030年には当たり前になるらしい。これらは普及していても驚かなそうだが、「空飛ぶクルマ」も当たり前になるらしい。にわかに信じがたい。

しかし、一昔前に世間話で空飛ぶクルマを想像すると「交通整理ってどうするんだろう?」とか「空からゴミをポイ捨てされたらどうする?」なんて心配していたけど、AIの発達でどうにかなりそうですよね。窓はハナから開かないような設定かと思うし。

さらに

・クラウド経由で、リアルタイムの翻訳も可能

これは2021年現在でも、google meetで会議をするときに英語話者がスピーカーの時は翻訳機能でかなり助かっている、という人もいるから(精度は完璧じゃないけど、意味は通じる)、現実味がありますね。

・AR(拡張現実)用のメガネにすべての情報が映し出される

これは、このメガネをつけたら道順が示されたり、店に入ればメニューが写真付きで表示されたり、相手の情報が表示されたりするらしい。もはやドラゴンボールのような世界ですね。

「ああああああ゛゛゛゛ーーーー!!!」

ってなったのが、

こうした夢のようなテクノロジーの裏側には、不都合な真実もある。

24時間、常時接続下では現代以上に日々の行動履歴は蓄積される。ARメガネが普及すれば、首の動きなどより細かいデータが収集されるはずだ。街角には監視カメラが設置され、画像認識で、あなたがどこにいるかは常に把握されるはずだ。

今でさえスイカやパスモで行動履歴が残るのさえ抵抗があるのに、こんな風になったらとうとう山にこもりたくなるかも。

どうなんだろう。せめて「履歴が蓄積されて、行動が把握されている」と知らせないでほしい。知らなければ、まだ気持ちが若干軽くなれる・・・気がします。

監視カメラは、安心をもたらすかもしれないけど、同時に気持ちのいいものではないですよね。どうでしょうか。最近近所の公園に監視カメラが設置されて、「監視カメラ設置」と書かれた紙が貼られるようになったのですが、公園は子どもを遊ばせることを思うと安心な反面、同時に窮屈な気持にもなるのです。

鳥山明の世界じゃん

さっきもドラゴンボールじゃん、を紹介しましたが以下のようなテクノロジーも鳥山明の漫画で見た覚えがあります。これもドラゴンボールでしたっけ?

日常での反復する作業や日用品の注文は、操作すら要らなくなっているだろう。

つまりこうだ。あなたが、朝起きると必ず枕元の照明をつけ、カーテンを変えて、ソファーに座りテレビをつけてニュース番組をみていたとしよう。これを繰り返していると、あなたが起きただけで、照明がつき、カーテンも自動で開くようになる。あなたがテレビの前に座れば、好んで見ているニュース番組が自動に映し出される。あなた以外の人が座ってもニュース番組は映らない。

住人の行動をAIが学習するから、予測して勝手にすべてを行なってくれる。家中に配置されたセンサーがあれば可能だ。これは間違いなく、スタンダードになる。

鳥山明の漫画では、歯磨きもしてくれていましたね。

ちなみに彼の漫画の中で一番実現してほしいのは、ホイポイカプセルです。

医療も、もちろん進むけど皮肉な感じもする

医療は

・オンライン診療

・遠隔手術

・AIによる薬の処方の最適化

・がんは治る病気の時代がすぐそこまできている

・人工臓器時代の幕開け

などなど、いろいろ進む。

素人なので何もわかりませんが、テクノロジーの進歩について読んでいると、テクノロジーによって人間が自分の体を使って行動したり、考えたりすることが少なくなるわけで、それが健康を害する一端になりそうな気もします。

しかしそれもまた医療のテクノロジーでカバーする皮肉に思えるわけですが。

行動、思考はあまりしなくなっても、長く生きられる。生きるって何だろう。そんな風に「生」について思い悩む人が増えて、哲学が発達するかもしれませんね(雑)。

「経済」の章で絶望必至

未来の日本経済の章を読むと、絶望必至です。

すべては若者が減り、高齢者が増えるから。

これまでもよく言われている話ではあるのですが、改めて畳みかけられるようにいろいろ解説されると落ち込みます。そしてその気持ちを察するかのように光も示してくれます。

2040年はお先真っ暗だと思われた方がほとんどだろう。この章では、来るべき未来のために、みなさんの懐を大きく傷めずに、私たち個人は何をすべきなのか、そして国の歳入がどうすれば増えるのかも考えたい。

年金や退職金についても書かれているので、現実に即して考えることができる章でした。

そもそも、「老後2000万円問題」は老後のために「預貯金以外の金融サービスを使って個人で老後資金をつくりなさい」という金融庁のメッセージだ。

まったくその通りであり、誰もが覚えておいてよい言葉ではないでしょうか。

NISAのスタートだってメッセージの一つなのでしょうし、私たちは、個人でできることをやっていかないといけないと強く感じます。

人工肉や昆虫食は早いうちに身近になりそう

衣食住の章では、とくに食は興味深かったです。

・代替肉

・培養肉

・遺伝子組換えをした魚

・昆虫食

これらが普及するとの予測ですが、早めに普及しそうですよね。

2040年には世界の肉の60%が、動物本来の肉ではなく、培養肉や植物からつくられた人工肉に代わるとのことです。

2021年現在ですでに「魚が昔と違う」と思うことが増えました。

安い魚を買うと、魚なんだけど本物じゃないみたいにブリンブリンでゴムのようなものがあるんですよね。うちの近所だと。

高齢者から「肉は昔の方がうまかった」と言う話を度々聞きますが(今と何が違うのでしょうね?)、私も近い将来同じようなセリフを口にすることでしょう。

大学、教育についての小気味いい言葉

日本では2040年に向けて、学歴の価値が下がっていくそうです。現在でもすでにその兆候はありますね。

教育周りについての著者の言い回しが、バッサバッサと気持ちよかったです。

私は人の親なので余計響いたのかもしれませんが、忘れないようにしたいです。

学歴があればどうにかなる社会は、完全に過去のものになる。

就職に学歴が関係なくなるのだから、これからは、親も子どもに、それぞれが好きなことを見つけて、好きな仕事や自分の人生を創造する後押しをしてあげるべきだ。

学校や塾も行きたくなければいかなければよい。代替案としてオンライン教育が整備されるのは間違い無いのだから。さまざまな理由での不登校児も増えるだろう。

不登校が問題視されることも少なくなっていくのかもしれないですね。

天災は誰にも予測できないけれど

マグニチュード9級の南海トラフ地震は、30年以内に70~80%、マグニチュード7級の書と直下型は30年以内に70%の確率で起きると予測されていますよね。

この数字を見るたびに、例えば金融商品を10年保有すれば70%の確率で倍になる、と言われれば「絶対倍になるじゃん」と思うのに、ひとたび信じたくないことだと「起こらないかも」となる心理は一体何なのでしょう 笑。

天災は誰にどうすることもできないことです。なので本書では自分でできることはやっておき、判断をしていこう、ざっくりまとめるとそんな感じでした。具体案も示してありましたよ。

今のニュースが少し古く見えてくる

と、本書を一気に読んでいて、ふと現実に戻ると現在のニュース記事などが不思議と古く感じるんです。

ローン、子どもを難関大学に入れるための方法、リモートワークの弊害、女性の活躍、退職金、副業は行ってもOKか?・・・などなど、日々いろいろな記事を目にしますが、「もう過ぎたことでは?」みたいな感覚になっていて頭だけ未来をしっかり旅していたようです。

悲観的になるけれど、あとがきの光が好きだ

読んでいると悲観的になる部分も多々あります。

ただ私は悲観的な未来の見方は嫌いではないのもありますが、著者はあっさりさっぱりした物言いなことも相まって気持ちよさがありますし、光も示してくれます。

本書が示す将来は結構暗い。(中略)そこまで悲観する必要はない。なぜならば、いつの時代も高齢者は将来を悲観し、若者は未来を楽観するからだ。

(中略)つまり、65歳の私が本書でいうことを、全て真正面から受けとめる必要はない。話半分に聞いてもらってかまわない。だが、問題は、話半分でも、日本の未来は明るくないということだ。

ってまた現実を見せてくれるんですが 笑、

「どうすれば幸せな人生を送れるかに全エネルギーを注ぐのをオススメする」

とのことで、悲観もありつつ、生きるエネルギーが湧いてくるようなそんな力がある本でした。

生き残るためには、幸せになるためには環境に適応しなければならない。生き残るのは優秀な人ではなく、環境に適応した人であることは歴史が証明している。

エキサイティングな本だと思います。読んでよかった。

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