生理食塩水で目を洗ってみた 〜目は毎日洗わないのが基本〜
目を取り出してジャブジャブ洗いたい。そんな思いに駆られたことはありませんか。
漫画家の鳥山明さんが、確かDr.スランプのコミックで言っていました。
「目ん玉を取り出して、じゃぶじゃぶ洗いたい・・・・」
話の終わりと始まりの間のちょっとした作者小話にて、つぶやいていた覚えがあります。
私も目を使いすぎると鳥山先生を思い出しながら「目をじゃぶじゃぶ洗いたいなー」と思うことがしばしば。しかし今まで心の中で願うだけで、試してみたことはありませんでした。
なのでこの度、目は取り出しませんでしたが、満を持して生理食塩水で目を洗ってみました。
「食塩水」の名前の響きのせいで「痛そうな気がする」と二の足踏んでましたが、やってみたらまったく痛くない。
というか、むしろ気持ちよかったです。
ただ、現在では「毎日目を洗ってはいけない」のが眼の世界での常識です。
それを念頭に置きつつ、読んでみてくださいね。
前提:なぜ生理食塩水で洗眼なのか?
なぜ眼を洗うのに、生理食塩水を使うのか?
そう、洗眼といえば「アイボン」があるじゃないか、と思う人もいるだろう。
なぜ生理食塩水で洗眼しようと思いついたかというと、もともとコンタクトレンズ用食塩水の用途を調べていたのが発端だ。
関連記事>>コンタクトレンズ用食塩水の使い方。どんなときに使うの?
調べるなかで、自己責任とはいえコンタクトレンズ用食塩水で「洗眼」をしている人々が散見された。そしてその多くが「不要な成分が入っていなくて気持ちいい」と言っていたのだ。
それで妙に納得し、アイボンに罪はないが、すんなり生理食塩水派になったのである。
それにアイボンよりも断然安いのも大きな理由だ。アイボンは900円くらいだが、生理食塩水は約200円なのだ。
さて、前提はこのへんにして本題に移ろう。
まずはアイボンを購入
まずはアイボンを購入。
目的は、アイボンに付いているカップを手に入れるためだ。
アイボン「ミニ」が幸いにも売っていた。
「目は毎日洗うな」「洗浄液はあまりよろしくない」という前提が頭にあるため、そのまま内容物を廃棄してもいいのだが貧乏性のため使用。ミニがあってこれ幸い。
すっかり生理食塩水派になっていた私は、アイボンのパッケージの表記「防腐剤※は入っていません」が急に気になった。
そう、「※」が気になる。
こう書かれている。
「防腐剤※は入っていません。※防腐剤とはベンザルコニウム塩化物、パラペンなどのことを指します」
じゃあそれ以外の防腐剤代わりになる成分が? と頭をよぎったものの、今回の目的は付属のカップ。深堀りはよそう。
アイボンは1日3〜6回を推奨している。また、30秒以上洗眼するなと書いてある。
「30秒以上洗眼するな」。なんだか戦々恐々とした。
薬局で販売できるくらいの商品なので、もちろん危険なことはないとわかっている・・のだが、びびってしまい、早く使ってしまいたいものの1日1回使用することにして、12日間でボトルは空に。アイボンミニを使い切る。
かくしてアイボンのカップを見事ゲット。
食塩水で洗眼してみる
洗眼に使うのは「コンタクトレンズ用食塩水」。大洋製薬のソフコンプラスという商品にした。
ソフトコンタクトレンズ用と表記されているとはいえ、0.9%の塩化ナトリウム溶液(食塩水)である。つまり普通の食塩水なので、問題なかろうと自分の中にゴーを出す。
使用する大洋製薬の「ソフコンプラス」の成分は、「0.9%食塩水、添加物:ゼオライト」。
ソフコンプラスには抗菌スティックが入っているのだが、これにゼオライトが使用されている。ゼオライトにより、雑菌の繁殖を抑える働きがある。
参考)Q1. ゼオライトとは? | 一般社団法人 日本ゼオライト学会
ゼオライトに気を取られてきたが、次に進もう。
洗眼方法
さて、とうとうメインの洗眼だ。
アイボンの要領で洗眼しよう。
生理食塩水は、人間の体液とほぼ同じ浸透圧だから問題ない。と頭ではわかっている。
しかし「食塩水」・・・そう、「塩」の字面が私をひるませた。
“傷口に塩を塗る”のイメージで「痛いんじゃないか」、そんな思いが止まらない。
しかしやらなければ始まらない。。ドキドキする・・・
で、勇気を出してやってみた。
カップに食塩水を入れて、カップを目に押し当てて・・・上を向く!
・・
・・・・・
き、気持ちいい・・・!
タッタラ〜
・・・
まったくもって痛くない。
アイボンの後だからか、最初は少し物足りない感じがした。アイボンは、スカッとする要素があるから。しかしこれくらいが普通というか、まとも(?)な気がしてくる(アイボンごめん)。
翌日もやってみる。食塩水は冷蔵庫で保存しておいた。
・・・
冷たくて・・・気持ちいい・・・!!
「生理食塩水は、余分な成分が入ってないから気持ちいい」という口コミの意味が、刷り込みもあるのかもだがわかったような気がした。
その後日常的に生理食塩水で目を洗うようになったので、いくつかのメーカーのコンタクトレンズ用食塩水を試したのだが、「ソフコンプラス」は、入れ物が柔らかくて扱いやすかったので一番のお気に入りに。
けれど、目は毎日洗ってはいけない
ということで、目を生理食塩水で洗ってみた結果、痛くないし気持ちよかったです。とっても。
ただ繰り返しになりますが、目は毎日洗ってはいけません。気持ちいいのでクセになりそうなのですが、自制が必要です。
じつは、昔はどこの眼科もほぼすべての患者さんの洗眼をしていたそうです。
また、学校のプールには目洗い専用の水道がありましたよね。蛇口が上に向いていて、数ヶ所から水が細く出るアレです。洗ってくれと言わんばかりでしたよね。
しかし時が流れ、常識は変わりました。洗眼のしすぎは目に良くない、と今日では考えられています。
・ムチンなどの角膜を守ってくれる成分が流されてしまう
・細菌やアレルギーの原因となる成分が目に付着しやすくなる
このような理由から「頻繁に洗眼すべきでない」が定説になっています。
異物が入った時は、洗う
ただし、ゴミや薬品やシャンプーなど異物が入った時に洗うのは、とても合理的。
異物が目に入ったら、洗いましょう。
洗眼液は不要
多くの眼科医の間では、市販の洗眼液は不要、とされています。
角膜が傷ついたりする例が見られるためです。
家庭での洗眼は問題があり、異物やシャンプーなどが入った時などに限るのが無難です。
シャンプーが目に入ったような時は、シャワーでも使って洗えばいいでしょう。高いお金を出して「洗眼器」など買う必要は全くないと思います。
特別な「洗眼剤」もあまり意味があるとは思えません
多くの眼科医の意見がこのような内容でした。
また、目を洗う際に私が使用したようなカップは、使用しない方がいいという意見も多いです。
かえって目のまわりの汚れが(お化粧などしていると特に)目に入ってしまう恐れがあるからです。
ちなみにアイボンの見解は・・・
この流れからいくと、アイボンで洗眼しても大丈夫なのか気になる人も多いでしょう。
Q. 洗眼をおススメしないという意見も聞いたことがありますが?
A. 水道水で洗うときは注意が必要です。塩素や菌が含まれていることがあり、かえって目に負担をかける場合があります。また、目に有害な防腐剤を使っている洗眼液の使用はおすすめできません。
余談ですが、アイボンを製造している小林製薬のスローガン。
「あったらいいなをカタチにする」
「目、じゃぶじゃぶ洗いたい」と思っていたら、カタチになってた。スローガン、すごい。
カップだけ入手もできる
私は今回アイボンのカップを使用しましたが、カップだけ買うこともできます。
私は最近はアイボンを買ってカップをゲットする手法はやめて、カップはカップで別で入手して使うようになりました。