2003年発行の本だけど、複数収入源を作るための本『週末起業』を読みました
『週末起業』(藤井孝一著/ちくま新書)についてまとめます。
2003年発行のため2020年現在とは事情が異なりますが、現在も通づる部分を備忘録として記します(※以下備忘録情報は2003年当時のもの)。
週末起業で成功している人たちがどのように成功したかを研究、体系化した本です。
サラリーマンが会社を辞めずにお金もかけず、好きなことで起業する「週末起業」について書かれた本ですが、副業、主婦の方が収入を得る方法、ちょっとしたお小遣い稼ぎ、はたまた独立をするためのとしてのヒントにもなるなと思いました。
著者は「週末起業」から「独立」へ
著者の藤井さん自身は「中小企業診断士」という資格を取り、経営コンサルタントに。しばらくは会社を辞めずに週末と夜だけ経営コンサルタントの仕事をした。顧客獲得ルートと顧客を開拓したうえで、独立開業。
ちなみに、資格があったから仕事を得られたわけではなく、きっかけはメールマガジンを発行したこと。
週末起業のビジネスモデルの種類
① オンラインショップ
趣味でものを作る人なら作品を売る、自分で作れないなら作れる人と組み、代行販売。もしくは一般の商売のように仕入れて販売。
商品を仕入れて売る場合は、卸値で仕入れて、他では手に入らないものを売るのがポイント。Aさんの場合は一回り大きな鉄道模型を販売。地方ではなかなか手に入らない。他に手に入らないといえば、手作り品、海外から輸入、ビンテージ物など。
② 代行ビジネス
自分のスキルや技術を生かしてお客さんの業務を代行。例えば会計、給与計算、HPの作成、翻訳など。
③ 情報発信ビジネス
自分の持っている情報や知識、ノウハウを商品に。これに広告をつけたり、購読料をもらったりすればビジネスになる。
④ オンライン教育、コンサルティングビジネス
一方通行で情報提供するだけでなく、メールなどを使って双方向にやり取りすれば教育やコンサルに発展させることができる。
⑤ マッチングビジネス
人脈を活かし、派遣業を営むこともできる。
Bさんは出版社に勤める一方、結婚式の司会者を派遣する会社の社長をしている。もともと結婚式の司会を土日にしていて、そこで築いたネットワークを活かして司会者と結婚式場をマッチングする司会者派遣業を立ち上げた。現在のお客さんはホテル、レストラン、セミナー・イベント主催会社など。
どんな分野で週末起業を始めればいいか
ビジネスモデルの例がわかったところで、自分が始める場合は、どんな分野で起業するのがいいのか?
重要なポイントは、以下の3点を満たすかどうか。
1. やりたいこと
2. できること
3. 時流に乗っていること
この順番で絞り込みをして、分野を決める。
「時流に乗っている(流行っている)」ことから考えていくと失敗することが。すでに他の人や企業がやっているし、得策ではない。むしろ他ですでにあるのなら検討材料としては除外しておくべき。
1.「やりたいこと」は何か?
本業以外にやるのだから、できるだけ好きなことがいい。
でも、やりたいことがすぐに見つかればいいもののやりたいことがわからない場合は?
趣味がない、好きなことがない場合はどうしたらいいのか。
実際週末起業をしたいと考える人の相談の大半が、コレ。その場合、次の質問を自分にしてみる。
・お金を払ってでもやりたいことは?
・一晩くらい寝なくてもできることは?
・これまでに最もお金を使ってきたことは?
・2時間ぶっ通しで話し続けられることは?
ある人の場合、お金を一番使ってきたのは英会話の教材や学校だった。そして知人と組んで英語教材を開発、ネットで販売して成功。
個人的には「お金を払ってでもやりたいこと」って難しいですけどね。お金がかからないならやりたいことや、お金を稼げる可能性があるならやりたいことってありますが。
趣味はあるが、ビジネスにならなそうな場合
実は一見ビジネスになりにくそうな趣味の方が、うまくいくケースが多い。
例えば「夜景鑑賞が趣味」の人で大成功した人の例も。夜景評論家と肩書きをつけ、夜景の楽しみ方の講座を開催、夜景の写真をネットで販売、夜景に関するコンテンツを開発・提供などをして、独立開業を果たした。
何かに詳しければ、評論家、専門家になることが考えられる。「大人の食べ歩き」「コンビニグルメ」「離婚」「一人暮らしの楽しみ方」の専門家なんて人たちもいる。
2. 自分にできることなのかを考える
好きなことがわかったら、次はそれが自分にできるのか?を考える。
好きなことをやろうといっても、お客さんからお金をいただけるレベルかどうかは不明。一方、得意なことは自分では気づきにくいもの。簡単すぎて得意だと分からない。しかしそういうことこそビジネスにするべき。
得意なことを見つけるために、次の質問をしてみよう。
・「こんなことでお金をもらっていいの」ということでお金を稼いだことはないか
・子どもの頃、親や先生に褒められたことは?
・クラブ活動でどんな役割を果たしていたか
・得意な科目は?
こう自問することで「自分は得意だが、他の人にはできない」ことを発見できる人も。
3.それが「時流に乗っている」か
世の中の流れに沿っていないとつまずきやすい。
何を商品にするのか?
分野が決まれば、次は「何を売るか」。ビジネスは、「価値あるものを提供し、その見返りとしてお金をいただくこと」。
趣味からビジネスを発想すると、ほとんど趣味に関するモノを売ることを考える。例えば釣りが好きだから、ネットで釣竿を売る、など。これではありきたりすぎる。
そこでモノ以外も検討を。コツは、起業したいと考える分野に関するモノ、ワザ、知識・情報、人脈のうち、売れそうなものはないかを考える。
「困った」「あったらいいな」はビジネスのアイディアに
また、自分の趣味に関して「困っていること」「あったらいいのに」と思うことがあれば、アイディアに繋がることも。例えば釣りであれば、
・渓流釣りを教えてもらいたい
・釣り道具を修理してほしい
・釣り仲間が欲しい
などなど。これらの困りごとを、あなたがビジネスで解決できないかを考えてみる。
ビジネスにできるほどの知識や経験がない場合
あなた自身がやらなくてOK。
例えば売れるほどの絵は描けないが、人の絵を売ることならできる、タレントやミュージシャンにはなれないが、彼らのプロモーターにはなれる、など。
世の中には、「売れるほどのものが作れない」と嘆く人がいる一方で、「作品は作れるが売り方がわからない」人がいるもの。ここに着目を。
顧客対象を絞り込む
売り物はありきたりでも、これまで誰も売ろうとしなかった対象に売ることでユニークなビジネスが生まれることも。
例えばCさんは、パソコン教室をやりたかったが、どこにでもあるビジネス。そこで子ども向け、お年寄り向けなど対象者を絞り込んで考え、結果地元の中小企業の経営者でパソコンに不慣れな人に特化して教室を始めた。
この週末起業というコンセプトも、起業ノウハウは掃いて捨てるほどあるがサラリーマン限定は他にない。それを表現するために起業の前に【週末】という文字をつけた。
これはなるほどです。「起業」だけだったら私もこの本を手に取らなかったです。
商品をどのように売るのか
自分とお客さんの間を商品と情報、お金がスムーズに流れていく一連の仕組みを考える必要がある。
このプロセスを完成させるのには、自分のビジネスのお手本になりそうなお店を見つけて実際にお客さんとして買ってみる。
そして商品やお金の流れを知り、そこで発行される納品書や領収書のフォーマット、顧客対応の言い回しを参考にできる。
ビジネスとして成立するかを検討
商品と仕組みが決まったら、以下の2点のチェックを。
・お客さんはいるか?
・すでにやっている人はいないか?
週末起業ではナンバーワンではなく「オンリーワン」を目指すのが得策。
自分ならではの商品、希少価値がある商品だからそ、ライバルに参入されにくく週末起業にふさわしい。
「ニーズはあるが、お客さんの数が少ないため大資本が参入していない」市場を見つけ、「自分にしかできない」「誰もやっていない」やり方で参入できればベスト。
お客さんを開拓するには
どんなビジネスにも必要なのが顧客の獲得。この営業には基本があり、それは
①見込み客を集め
②そこに売り込みをかけて買っていただき
③さらに二度三度と繰り返し買っていただく
ここではネットを活用。見込み客を集める方法としてはメールマガジンの発行。
現在は2020年なのでメルマガ以外にも色々と方法がありそうですね。
週末起業成功への心得
著者藤井さんのが週末起業を通して得た体験から思う5つの心得とは。
1.継続的に投資を
一度に多額をかけるのは禁物。今ある資金で少しずつ始めるのが週末起業のポイント。
ただある程度の投資は必要。投資なくしてリターンはあり得ない。儲かったら、利益の一部は必ず次の投資にまわすこと。
藤井さんの場合は、売り上げの10%を広告宣伝に、さらに10%を仕入れ(書籍などの勉強代)に当てるようにしている。
2.家族を巻き込む
週末は趣味を活かしたビジネスで部屋にこもりっきりだと家族が不満を持つ。そこで家族を巻き込む。
梱包作業は子ども、受発注、HPの更新は配偶者、買い付けはドライブを兼ねて、など色々工夫を。
3.会社には内緒にする
就業規則はチェックを。仮にOKでも同僚には極力知られない方がいい場合が多い。直属の上司に睨まれたり、妬みややっかみをかうこともあり、会社に居づらくなる。
現在は副業に関してだいぶ時代が変わったとはいえ、会社にもっと居やすくなる、なんてパターンは少ないでしょうね。会社や同僚の雰囲気をよく見たいところ。
4.時間を確保する
時間もコスト。際限なく時間をかけるわけにもいかないから、コスト意識を持って取り組もう。平日は会社もあることだし。
5.ビジネスを楽しもう
実はこれが一番大切。儲けばかり意識すると途端に楽しくなくなり、趣味をテーマに週末起業をした人は下手すると趣味を失う。
「1円でもお金が貰えたら儲けもの」くらいの気持ちでまずは楽しんで。そうするうちに楽しさがお客さんや取引先に伝わって、儲けも自然についてくるはず。
備忘録、おしまい。
上記以外にも会社バレや税金の話、法人化する場合など書かれています。