企業型の確定拠出年金を、退職後10年以上放置した女の末路

新卒で入った会社が、企業型の確定拠出年金を採用していた。

のちに私はその会社を退職。2009年11月に、確定拠出年金の加入者資格を喪失した。

本来ならばその後、何かしらの手続きをしなければならない。

しかし私は何もせずに、放置した。

そして気がつけばおよそ11年半ほど放置したのである

そんな女の末路、そして資産はどうなったのか。ここにレポートする。

入社したら、自動的に加入

新卒で入社した会社は、企業型の確定拠出年金を採用していた。そのため入社すると自動的に加入することになる。

運用管理機関の担当者が「確定拠出年金とは何ぞや、どんな商品があるのか」などを講習会で一生懸命説明してくれた。

今でもこのときのことを覚えているが、それまで資産や経済のことなど考えたこともなく、まじで一ミリも理解できなかった。

管理資産額が定期的に郵送されていたが、とりあえず開けるだけ

退職する

のちに私はこの会社を退職。

加入者資格喪失のお知らせ

総務の人が退職時の手続きについて説明してくれる機会で、こっそりと彼女はこう言ったのだ。

「私はこの確定拠出年金は、入社すると自動的に入らされるのはちょっと疑問です。一度入ると、アヒルの子どもみたいな具合にうしろに付いてくるのだから。60歳になるまでずーっと。途中でやめることができないの

会社側としては管理が楽になるからメリットはあるんです。だけど、加入するかどうかは個人に委ねる方がいいと思ってるんですよね」

退職したら、自分で手続き・運用をしなくてはならない

そう、退職後は、新たに何かしらの確定拠出年金の手続き・運用をしていかなくてはならない。

※2009年当時のプリントなので、現在とは少々異なる点があります

手続きは、退職後の進路によって異なる。

・他企業に就職する

・自営業者になる

・公務員、もしくは専業主婦になる

ここでは手続きの詳細は省くが、とにかく以下を強調された。

退職後6ヶ月以内に手続きを行わないと、

・「強制的に資産は売却、現金化されて、国民年金基金連合会に移管される」

・「それはもったいない」

ということだった。

つまり

6ヶ月以内に何もしないと、別機関にお金を勝手に移さて塩漬けになる。しかも移行したときに4000円くらい引かれる。

その上、管理費として、毎年手数料まで引かれる。

とにかく何もしなければ、せっかく積み立てて運用してきたお金を損することになる。

「だから必ず手続きをしてくださいね」

6ヶ月以内にノーアクション

というわけで、私は6ヶ月以内に何もしなかった。

その間、「移換手続きやってないだろ? やれよ?」といったハガキが届いていた。

自動的に国民年金基金連合会へ移換

さらに放置した。

そしたら、資格を喪失してから8ヶ月目に「確定拠出年金法83条により、あなた様の〜〜〜を国民年金基金連合会へ移換しました」とハガキが届いた。

つまり平たく言えば、こんな内容だった。

「やれって言ったのにお前が何もやらなかったから、強制的に資産を別機関に移換した。その間運用はされない。早く手続きしろや」

これにて、退職から6ヶ月以上放置し、そして国民年金基金連合会へ資産が移換されたことがはっきりした。

このときから、運用もされず、ただただ塩漬けになり手数料が引かれる日々が始まった。

退職後は2年間無職

ちなみに何も手続きをしなかった間、私は何をしていたかというと、ただただ無職だった。2年間無職だった。

この間海外をうろついていたこともあり手続きができなかった、というのもあるが、まあ無職なので手続きをしたところで掛金を毎月捻出なんかできない。

それに、何よりめんどくさかった。

難しそうな書類がくるたびに、拒否反応が出る。サルでもわかるような内容にしてくれたらまだ読む気になるかもしれないが、まあめんどくさい。それだけだ。

ちなみに何も手続きせずに放置する人は約50%いるらしい。わかる。

国民年金基金連合会へ移換後の資産

移換されたときの資産金額は、288677円だった。

脱退できた後輩がいた

そして資格を失ってから、約4年後の2013年。

神(後輩)からこんな言葉を聞いた。

「え、確定拠出年金? 私、脱退できましたよ。もうすぐお金が入るはず」

同じ会社を辞めた後輩だ。

え、60歳まで脱退できないんじゃないの? と言ったら、いろいろ問い合わせたら、脱退一時金でお金を返してもらえる、とのこと。

その後、彼女はその一時金で焼肉をおごってくれた。

運営管理機関に問い合わせ

吉報をもらった私は、運営管理機関に電話をして問い合わせた。

「脱退したいので、どうすればいいですか?」と。

結論から言うと、私の状況ではもはや脱退できない、との返答だった

うろ覚えだが、当時の記憶とメモによると

・資格を喪失してから2年以上経つと、脱退できない

・住民票を抜けば、脱退できる(2年以内か、それ以降もかは忘れてしまった)

ということだった。

これは当時の情報であるし、またうろ覚えのため、もし脱退を考えている人は問い合わせをすることをおすすめする。

私はハナから「一度入ったら、もう抜け出せない・・」と問い合わせすらしなかった。給料から積み立てられた、大事な自分のお金のことなのに。

移換手続きの資料を取り寄せていた・・・らしい

さてすっかり記憶にもなかったが、このとき移換手続きの資料を取り寄せていたようだ。おそらく電話口のお姉さんが気を利かせてくれたのだと思う。

しかし資料が届いたにも関わらず、キレイな状態のまま保管されていたので、そのまま放置したのだろう。

おそらく開けた瞬間に、「スターターキット」と書かれた簡単っぽさを醸し出した封筒とは裏腹に、難しそうな何冊もの資料を目にして、秒で現実に向き合うのが嫌になったのだろう。

資格喪失から11年半経過

そんなこんなで、このときから7年経過した今だ。

本当に本当にあっという間である。

この7年の間に、本格的に株や資産運用に興味を持ち始めた。本やネット記事を読んで情報収集した。出産した。妊娠後期に仕事を辞めたため、まとまった自分の時間を取れるようになった。

仕事は激務でめちゃくちゃな生活をしていて余裕がなかったが、仕事を辞めたことでお金について知識を得る時間と精神的余裕が出てきたのだ。

産後はまた時間がなくなったが、子どもが1歳をすぎるとちょっとずつ時間が取れるようになってきた。お金や株について、再び考えるようになった。

株で失敗もした(現在進行中・・)

そして株を本格的にやっている人には些細な金額かもしれないが、個別株が原因で私にとっては大きなお金を損失し、失敗もした。

パートで仕事を再開し、自分のお金が少額ながらも入ってくるようになり、さらに子どもが2歳になると、家計が急に心配になってきた。

子どもの教育費などもまったく気にしていなかったが(子どもはお金がかかると言うが、今のところお金がかからないので実感がない)、やっぱり教育費も気合い入れて貯めた方がいいのかな、なんて思いも出てきた。

資産運用を考えていたら、思い出した

個別株以外にもロボアドバイザーのウェルスナビを使って運用もし始めた。本を読んだりして、iDecoどうしようかな・・・なんて考えた。

そして「企業型確定拠出年金」を思い出し、ついにパンドラの箱を本格的に開けた。

この頃には、

資産運用をするならば、長期でインデックス投資をするのがよく、また時間が味方になる。だから早く始めれば始めるほどよい

という考えになっていた。今もそうだ。

11年後は、資産運用環境が変わっていた

そして、適宜来ていた封書を開け、とうとう重い腰をよっこらしょと上げて電話をした。めんどくさいけど、電話じゃないとダメらしい。

塩漬けにしていた確定拠出年金を、iDecoに移換して運用することにしたのだ。

余談だが、この確定拠出年金についての郵便は、いつまでも私の後をついて来た。

どういうことかと言えば、私はこの11年の間に4回くらい引越しをした。その間、一度を除いてはこの機関に住所変更を出したことがなかった(※この封筒の中に、変更届も入っている)。

なのに「あんたの住所、あらゆる情報駆使して知ってる。だから現住所に送ったぜよ!(意訳)」と現住所に送られて来たのだ。いろんな横のつながりで、わかるんでしょうね・・(ありがたいけどガクブル)

iDecoで運用できるようになっていた

さて、放置している11年半の間に、資産運用環境が改善されていた。

細かい変更点はよく知らないが、企業型確定拠出年金で運用した資金を、扶養されている私の立場でもiDecoで運用できるようになっていた。

以前はそもそもiDecoという呼称自体なかった。そして悪くない商品ラインナップも見つかるようになっていた。

国の財政がやばいから、誰もが個人で年金対策をできるように政策を打ったのだろう。

iDecoへの手続きをする

11年半も放置したが、ようやく手続きの電話が終わった。

資産運用は早くから始めた方がいい。それが一番の原動力になった。

1週間ほどして、iDecoのご案内書面が届く。

商品選びもこの段階で行う。

これまでだったら、この書面が届いた段階で嫌になっていたと思うが今回は大丈夫だった。お金や資産運用に興味を持ったり、いろいろと運用しておくとハードルが下がるもんなんだなあ。

とか言ってみたが、書類に不備があったため再び書面が届き、修正するポンコツっぷりは忘れなかった・・。

11年半放置し続けた結果の資産額

さて、iDecoに移管手続きをした時点での資産額はいくらだったろうか?

279799円

国民年金基金連合会へ移管されたときの資産は288677円だったので、

マイナス8878円

になる。

時間はやはり大きかった

なんだ、思ったよりマイナスにならないじゃん、て思っただろうか?

私も一瞬そう思ったが、もし仮に年利5%の複利で運用できていたとしたなら、お金を新たに投入せずとも、33万円くらいになったのだ

11年半放置し続けた女の、末路

時が経つのは早いもので、11年半は本当にあっという間だった。

そして11年半放置し続けたが、女は元気に生きています。

しかしながら、振り返れば

・脱退したいのなら、電話をして聞いてみる。聞くだけタダ

・やっぱ塩漬けはよくない。運用もされずにただただ手数料(頼んでもいないのに)が引かれるだけ

・11年間きちんと運用してたら・・と運用益を考え始めると悲しくなる

・お金の知識はないと損する

・お金の知識は早めにつけたらつけるだけ良い

・お金の知識がないと、手続きがより億劫になるし難しく感じる

そんな風に思って、ちょっと悲しくなるのだった。

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